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疫病を退散させる半人半漁の妖怪「アマビエ」が、全国各地で作品、弁当、和菓子、スタンプに使われてちょっとしたブーム到来。
文・写真:和田一良 NPO法人まちづくり学校 理事 イラスト:引用
まちづくり学校運営委員(理事)のFacebookメッセンジャーグループに初登場(4月)した妖怪アマビエは、以下のイラスト。疫病を退散させる半人半漁の妖怪をはじめて見て、なんだこれと思いましたが、今や感染症時代のアイドルです。2020年6月11日の新潟日報朝刊には、「心和む小さなアマビエ 五泉 村松公園タマ公像に置物」という見出しの記事が出ていました。誰がいつ置いたのかわからない突如登場した妖怪アマビエの置物が通りかかった人の心を和ませているという内容にほんわかした人も少なくなかったはずです。
江戸期に生まれた妖怪アマビコ(天彦、海彦、阿磨比古など)が複製される際に誤植でアマビエになったという説が有力です。アマビコは三本足の猿で、アマビエは半人半漁の形をしており、見た目にはアマビエの方があきらかに有利です。アマビエは水木しげる妖怪図鑑にも収録されていて、三条市の木工工房『坪源』による木製アマビエは、その絵を元につくられたということです。それにしては、とてもかわいい姿で、元の姿はどこにいったのかというほどです⋯⋯。
江戸末期のコレラ流行のときには姿絵が売り歩かれたそうです。時代は過ぎ、2020年です。それはイラスト・オブジェの作品、弁当、和菓子、LINEスタンプに展開されています。#アマビエチャレンジというハッシュタグで、アマビエをかわいい姿にしたイラスト、お弁当、人形、LINEスタンプなどが発表されています。
新潟では、4月22日に新潟日報朝刊で三条市のアマビエ弁当が紹介されました。九マスに分かれたお弁当パッケージに、三条市内の料亭、割烹9店から一品ずつ美しく盛られたお弁当が、5月いっぱいまで販売される予定とありました。
注目したいのは、まず最初に個人によるアマビエチャレンジが瞬く間に広がり、それに企業が追随し、さらにネットワーク型の地域集団によって練られたアマビエチャレンジが見られるようになってきたことです。個人から始まるプロジェクトは、まちづくりの分野でもよく見られることではないでしょうか。やぶへびひろばも、そんな場にしていきたいと思います。
みちくさんぽのススメ
文・写真:丸藤文子 NPO法人まちづくり学校 理事
#01 植物はコミュニケーションツール/みちくさんぽのススメ
私は、道々に咲く植物を眺めながら散歩をするのが好きです。
家からバス停までの道のりには、庭で大切に育てられている植物がたくさん。道行く人が楽しめるようにと作られた花壇や鉢植えを見かけると嬉しくなります。手入れしている人を見かけようものなら、つい声をかけちゃう。普段は挨拶を交わす程度の間柄でも、花を介すと会話が弾むのです。土曜日はお隣さんと、コンクリート塀を境に生えている雑草の種類が違うと盛り上がりました。姪と散歩をした日曜日は、昨年と今年の同じ日で咲いている草花が違うねという話になりました。昨年は草むらに満開だったコメツブツメクサが見当たりません。マツバウンランもマンテマも生えてない。雪が降らなかったから、早く咲いてもう枯れちゃったのかなーとか、地球温暖化の話にもなりました。
植物を介したコミュニケーションは、老若男女問わず。いろんな人と仲良くなれる、思わず笑顔がほころぶ、ステキなコミュニケーションツールじゃないかしらと思っています。
にいがたユニバーサルまち歩き、スタート!
文・写真:中村美香 NPO法人まちづくり学校 理事
「○○さん、カッコイイ!」とガイドさんに掛け声がかかるまち歩きってご存知ですか。
この春、にいがたユニバーサルまち歩きという障害者によるまち歩きガイド団体がたちあがりました。この活動は昨年開催された第34回国民文化祭・にいがた2019、第19回全国障害者芸術・文化祭にいがた大会(以下障文祭と略する)の新潟市の取組のひとつでした。障文祭の時は新潟市の観光ボランティアガイドである新潟シティガイドと障害者ガイド(視覚・聴覚・車いす各1名)がタッグを組み、ひとつになってガイド役を担い、全部で5回、新潟市中央区西大畑~古町花街を歩きました。
ある時、穏やかな低音ボイスが魅力的な視覚障害者のガイドさんがまちを歩いて楽しむことの大切さを語っていた時に「○○さん、カッコイイ!」掛け声がかかり大盛り上がり。もうその時のガイドさんの照れっぷりといったらありませんでした。またある時、聴覚障害者のガイドさんがまち歩きの途中でぱぁ―っと台に上がって、いきなり表情豊かで華のある手話で参加者に話し出したところ、一瞬のうちに参加者を惹きつけられていくではありませんか。その鮮やかな場面運びや求心力には心底参りました。また、車いす利用者としてインフラ整備等に意見や助言を行ってきたやさしい表情の車いすのガイドさんがまちに対する思いを語ったときにはひときわ大きな拍手に包まれ、障害者ガイドの醍醐味を感じさせました。
こうしたした体験から文化祭終了前後にメンバーから活動を続けたいという声が上がり、なんと、取組に関わったスタッフも全員が参加を希望し、活動を継続することになったという情熱の塊のような団体でもあります。
確かに多様な障害者一緒に活動するのは大変な面もありますが、お互いに失敗を恐れることがなくなりました。例えば、聴覚障害者には視覚障害者の声は聞こえず、視覚障害者には聴覚障害者の手話は見えません。その両者が話し合うのですからなかなか大変です。耳の不自由な聴覚障害者は手話で発言しながら手話通訳者を介して会話をしますが、目の不自由な視覚障害者は自分の耳で聞きながら細部を同行支援者に言葉で、場合によっては触れながら補足説明を受けて会話の中身を理解しつつ他のメンバーと会話します。互いに人を介するので少しだけ時間がかかりますから、時間制限はとても苦手。メンバーと一緒にいると、通常以上によくしゃべり、笑います。結果、会議がちっとも進んでいないこともしばしばです。でもそれでいいんじゃないかと皆さんが納得するのです。地道な積み重ね、コミュニケーションの大切さを痛感します。手話を言語にしている聴覚障害者と直接会話をしたいとなると他のメンバーは他の手段(筆談やアプリ)で積極的に話しかけていきます。現在は聴覚障害者を中心としたメンバー同士がLINEで繋がっており、ここに視覚障害者が参加予定で現在LINEを学習中です。
肝心の活動の中身やガイド自体の更新などはコロナの影響もあって活動自粛を余儀なくさたため、これから一つずつ確認をしつつ、ガイドの中身ついてもこれから更なる研鑽を積む必要があります。それでもゆっくりと着実に積み重ねてより良いガイドができるよう励んでいきます。まち歩きができるようになったらお知らせしたいと思っております。その際にはぜひご参加くださいね。